【マーケティング論03】マーケティング・プログラム/STP検証編

みなさんこんにちは!古川ゼミナール1期生総務の向井颯です。

今回はマーケティング論反転授業第3回の内容についてお話しさせていただきます。(マーケティング論反転授業とは:古川先生のオンデマンド授業から学び、その内容を自分の言葉で噛み砕いてゼミ生に共有する授業です。春学期に1期生の授業で実施しました。)

今回はマーケティング・プログラムと呼ばれるものについてのお話と,それに伴うSTP検証についてお伝えします!
第2回で学んだ,マーケティング戦略に効果的な方法を踏まえながら,今回は実際にマーケティング・プログラムの決定までお話を進めていきたいと思います!具体的にカフェの事例を用いながら書いていくので,ぜひお手元にコーヒーや紅茶などをご用意いただいて,ご覧になってください。

前回までの復習

「マーケティングには流れがある」ということを前回の授業でお伝えさせていただきました。その流れを表した図が以下の図です。
出所:第2回授業

今回はこの流れの中でも製品・産業要因であるSTP検証および,4P・4Aと呼ばれるマーケティング・プログラムの部分を扱います。

STP検証

早速ですが,STP検証とは何なのでしょうか?
結論,STPとは「Segmentation(消費者を分類する)」「Targeting(対象を定める)」「Positioning​(他社と被らないようにする)」の3つの頭文字をとってSTPと呼ばれています。
つまり,それぞれS・T・Pから3単語の行動を行うことをSTP検証と呼ばれています。

では,具体的にどのようにSTPは行われているのでしょうか?

S:Segmentation(消費者を分類する)

まずはSTPのS,消費者の分類についてです。
日本国内で見ても,世界規模で見ても,世の中にはたくさんの人類が存在し,様々な考え方,生き方をしている人がいます。
そのような人々をまずは様々な項目で分類してみようというのがSegmentationの考え方です。
具体的には以下の4つを用いて分類することが多いです。
地理的・人口統計学的・行動的・心理的分類の4つです。
以下の表にまとめた通り,デモグラフィックな要素とサイコグラフィックな要素で分類するのが主流です。


また,Segmentationの段階で重要なことは以下の要素を考えて分類を行うということです。
測定可能性・利益実質性・到達可能性・実行可能性の4つを考慮する必要があります。



これらの要素を考え,実務においては1〜4象限で分けることが多いです。


T:Targeting(対象を定める)

では,続いて実際に製品やサービスを販売する対象を定めていきましょう。
ここではSEEDS志向とNEEDS志向が重要となります。

消費者が分類できたため,どの消費者へと実際に販売していくのかを考える際に,
「うちの商品・サービスはこういう特徴があるから,この特徴を欲しているであろう消費者へ売ろう!」
と考え販売していくのをSEEDS志向と言います。

↑SEEDS志向の例

ではNEEDS志向とはなんでしょうか?
NEEDS志向は言葉の通り,市場調査などによって発見されたニーズをもとに販売するターゲットを定めるということです。

↑NEEDS志向の例


これまでの日本企業では,製品を作ってから,販売する対象を定めるというSEEDS志向でした。しかしながら,実際にどれだけ良い(と思われる)製品を作っても,消費者のニーズを満たしていない,もしくはニーズを超えており不必要なものまで搭載してしまうなどの問題点がありました。
このようなことから,NEEDS志向への転換を求められています。

P:Positioning(他社と被らないようにする)

実際に製品やサービスを販売するにあたって,他社と被ってしまうと最終的に価格競争へ陥り,企業にとっても市場にとっても負の影響が考えられます。
そこで,企業は他社と被らないように位置付けを行います。

ポジショニングマップと呼ばれるものを用いて自社の位置を可視化しながら行われることがしばしばです。

↑コーヒー産業におけるポジショニングマップの例

ゴンチャのSTP

では,実際の企業はどのようにSTPを用いているのでしょうか?
ここでは,私向井が大好きな「ゴンチャ」を例に考えてみましょう。
ゴンチャはタピオカブームで一躍有名になり,ブームの落ち着いた今でも人気のカフェチェーンです。

ゴンチャのSTPをまとめると以下の画像のようになります。


ここで重要になるポイントはPositioningのところで書かれている「お茶のスタバ」という部分です。

ゴンチャはポジショニングとして,「お茶界のスターバックス」という位置付けを行なっています。
そこで,「コーヒー嫌いのスタバ好き」へ向けたマーケティングを行っています。
この後の4P/4Aの部分で具体的に話しますが,スターバックスのフラペチーノに700円を支払う人は,700円くらいするゴンチャのタピオカにもお金を払ってくれるという考え方です。

マーケティング・プログラムの決定

最後にマーケティング・プログラムの決定についてお話します。
マーケティング・プログラムには,4P・4Aと呼ばれるものがあり,視点の違いから使い分けられています。

企業視点である4P(Product, Price, Place, Promotion)

まずは4Pについてお話します。
4PとはProduct, Price, Place, Promotionら4つの頭文字をとったものであり,製品,価格,流通チャネル,販売促進の4つの要素のことを表します。


4Pは企業の目線で考えられたマーケティングの具体的な要素であり,消費者視点ではないという指摘を受けることがあり,その結果生まれたのが4Aです。

消費者視点の4A(Acceptability, Affordability, Accessibility, Awareness)

先述の通り,4Pは消費者視点で考えられていないということから,あのコカ・コーラ社が提唱した3Aという要素を用いて作られたのが4Aです。
4Aとは,Acceptability, Affordability, Accessibility, Awarenessら4つの頭文字をとったものであり,ニーズ期待を超える,入手容易度,支払い可能,認知度の4つの要素のことを表します。


STPのTargetingにおけるSEEDS志向とNEEDS志向と同様に,消費者視点に立って考えることが重要であるということから,4Aは最近注目されています。

ゴンチャの4A

では,先ほどSTPを確認したゴンチャの場合はどのような4Aがあるのでしょうか?
それをまとめたものが以下の画像です。


ここで重要なポイントは,先ほどの「コーヒー嫌いのスタバ好き」という言葉でもあるように,スタバと同様の価格帯で販売するという点です。つまり,「コーヒー嫌いのスタバ好き」はスタバ同様の価格帯であってもゴンチャの商品に対価を支払うことができるという考えを持っているということです。

まとめ

ここまでご覧いただきまして,ありがとうございました。
ゴンチャの事例をもとに考えてきましたが,4Aの決定において,STPの時にPositioningとして「お茶のスタバ」という位置付けにしたことによって,スタバと同様の価格帯でも消費者は支払ってくれルようになりました。
このように,マーケティングには流れがあるということを今回も改めて感じることができたのではないでしょうか。

みなさんの周りにあるモノやサービスについても,「なんでこれくらいの価格なんだろう」や「どういう人がターゲットなんだろう」など,少し考えてみるとより一層マーケティングの流れがわかりやすくなるのではないでしょうか!

みなさんのマーケティングの悩みの解消にほんの少しでも繋がればとっっっっても幸せです!

次回もお楽しみにお待ちください。
ご覧いただきありがとうございました!!